科目コード
S15105
授業科目名
音響学
担当者
二矢田 勝行
対象年度
2024
履修区分
必修
開講期
1年
前期
授業回数
16回
単位数
2単位

授業の概要
・音の信号としての特徴、純音や複合音のスペクトル、伝達関数などの物理的な特性と音声生成の仕組み・音声分析法を学ぶ
・日本語音声の音響特徴、聴覚の構造、聴覚フィルタ および 音の大きさ・高さ・音色の知覚などの聴覚心理について学ぶ
DPとの関連
①人間を広い領域から捉え、人を愛する心と専門技術を統合できる能力を身につける
②言語聴覚障害学について深い専門的知識を修得し、それを臨床において適切に応用することができる能力を身につける
③職務遂行に必要な社会性、倫理観、専門職業人としての自覚を身に付け、多様な患者、家族、医療・福祉関係者等と円滑なコミュニケーションを取ることができる能力を身につける
④複雑で多様な障害について常に科学的に探究する姿勢をもち、積極的に自己研鑚し続ける能力を身につける
※DP:ディプロマ・ポリシー(修了認定の方針)=修了までに身に付けるべき資質・能力
到達目標
・音の物理的な特性、日本語の母音・子音の生成過程および各音韻のスペクトル特徴を理解する。
 音声の分析法を修得し、スペクトルなどの分析結果から声帯や調音器官などの状態を推定できるようになる
・聴覚機構の処理機能とそのモデル化、および音の知覚の仕組みを学習することによって、音響物理量と心理量の対応関係を理解する。音の提示による聴覚の診断に役立つことが期待される
履修上の注意事項
音の伝播やスペクトル解析を理解するには、ある程度の数学的な知識が必要である。特に、三角関数、指数、対数の基本的な知識を身につけておくこと
授業計画
回数 講義内容【担当教員】 事前・事後学修
1 音響学について 音の物理入門(音波の波形表示、音圧、音のエネルギーと強さ) 教科書などを参考にして、音の物理的特徴を把握しておく
2 信号としての音波Ⅰ(周波数・振幅・位相、周期音と非周期音) 高校数学で習った“三角関数“および”正弦波”について復習しておく。 単振動について調べておく
3 信号としての音波Ⅱ(実効値、デシベル) スペクトル ”常用対数”について事前に学修しておく フーリエ変換について調べておく
4 純音・周期音・雑音のスペクトル、スペクトル傾斜、スペクトル包絡 時間領域の波形と周波数領域のスペクトルの関係を復習してよく理解する
5 時間窓、時間分解能と周波数分解能、サウンド・スペクトログラム 時間窓の長短とスペクトル形状の関係を理解する 以後サウンドスペクトログラムをたびたび用いるので、表示方法を十分に理解しておく
6 線形システムの伝達関数、フィルタ、周波数応答とインパルス応答 フィルタについて調べておく フィルタの種類とそれらの役割について理解・考察する
7 母音生成のソース・フィルタ理論、有声音源、声道の共鳴 声門音源が声道形状で決まるフィルタを通って母音が生成される過程を理解する
8 声道断面積関数とフォルマント周波数、母音の伝達特性、子音生成のモデル 音源と声道フィルタによって各音韻がどのように生成されるかをよく理解する
9 声のディジタル分析(サンプリング、量子化) アナログ信号とディジタル信号の違いを事前に学んでおくこと。また2進数についての知識を有しておくこと
10 パワースペクトル、フォルマント周波数解析、praat 各自praatをインストールしたパソコンを持参する。Praatによるスペクトル解析とサウンドスペクトログラム表示法を学修する。
11 母音・子音の構音と音響特徴 各自サンプル音声をpraatで分析し、各音韻の音響的特徴を把握する。Praatの使い方を習得する
12 調音結合・超分節的特徴、声質の性差・年齢差・個人差 発声器官の物理的制約や物理的差異が音声にどのような影響を与えるかを理解する
13 病的音声の音響的特徴、GRBAS尺度 聴覚の基本構造 発声の異常がスペクトル上にどのように表出するかを理解する。
14 聴覚の伝音系、感音系、聴神経 聴覚系で音がどのようにして分析され、脳に伝達されるかについて理解する。
15 聴覚フィルタとマスキング、臨界帯域 聴覚系が聴覚フィルタという物理モデルで表現できること、そしてその有用性について理解する
16 音の大きさ・高さ・音色の知覚、空間知覚、音声理解とAI 大きさ、高さなどの物理量と人が感じる心理量の関係を理解する。脳の音声理解とAIに関して考察する
成績評価方法
原則として毎回ミニテストを行う。総合成績評価はミニテストの累計点35%、期末試験65%を目安とする。
ただし、受験資格を満たしていない場合は評価の対象としない。
教科書
書名・著者(出版社) ISBNコード
言語聴覚士のための音響学【今泉 敏】(医歯薬出版株式会社) 978-4-263-21267-7 C3347
参考書
書名・著者(出版社) ISBNコード
教員からのメッセージ
教科書に沿って進めるので、予習・復習をしっかり行って、授業の流れを見失わないように心がけること
スライドを併用して授業を行う(スライド原稿コピーは都度配布する)
教員との連絡方法
講義終了後、教室で。 授業時以外は教務課に連絡してください。
実務経験のある教員
電気機器メーカーにおいて音声・音響機器・AI(人工知能)の研究開発を行っていた教員が、その経験を活かして、音響の理論のみでなく活用法を含めた講義を行う。
既存の知識のみでなく、AIの適用など、将来の可能性についても言及する。