ホーム > 学部・学科 > 言語聴覚専攻科メッセージ

専攻科・大学院

メッセージ


保永泰志さん
広島中央リハビリテーション病院
リハビリテーション部

保永泰志 さん(2018年度入学 1期生)

今では「この選択は正しかった」と胸を張って言えます。


言語聴覚士を志したきっかけを教えてください。

私は、言語聴覚専攻科に入学する前、介護福祉士として介護施設で働いており、そこで、失語症や嚥下障害、高次脳機能障害によって、 話好きなのにコミュニケーションが難しくなった方、食べるのが好きだけどムセて食べることが困難な方に出会いました。
生活の中でどのような支援をしたらよいか分からず、葛藤の日々でしたが、やがて、 「コミュニケーションを取ること」や「食べること」が、いかに人生を豊かにするかに気付き、 自分にできることは何かを考えていた時、言語聴覚士の存在を知りました。
悩んだ末、自分自身が資格を取得し、話すことや食べることに困っている人へ「幸せ」を提供したいと思い、言語聴覚士を目指すことを決心しました。


学生生活で楽しかったこと・苦しかったこと・悩んだことを教えてください。

楽しかったことは、大卒2年制課程なので、幅広い年代の方が集まり、多くの人生経験や価値観・考え方を学べたことです。 先生との距離も近く、学生一人ひとりの性格を把握され、個性を尊重し、丁寧に関わっていただける環境もありました。 私の考えや行動を肯定的に受け止めてくださったので、自分らしく学生生活を過ごせたと感じており、とても充実した2年間でした。
悩んだことは、専攻科に入学して良かったのかどうかです。26歳で退職し、想いを持って入学したのですが、 周りの友人が出世・結婚・出産を迎える時期でもあり、自分が「28歳で新人職員になること」への不安や、 「この選択は正しかったのか」といった葛藤が芽生えた時がありました。
何度も後悔し、とても辛かったことを思い出します。
しかし、この2年間で得た、知識や道徳観、観察能力やコミュニケーション能力、人とのつながりなどは、かけがえのないものとなっており、今では「この選択は正しかった」と胸を張って言えます。

2年制というカリキュラムは、終わってみてどうだったと感じましたか。

忙しいと感じましたが、短期間に集中して、効率よく学習できたと思います。
実習が1年次2月と2年次10月〜12月にありましたが、節目節目に実習があったことで、 学内での講義内容の習熟と国試勉強に結びつきやすかったと感じたため、理解を深められるカリキュラムだと思います。

就職活動において、どのようなことを心がけていましたか。

私は前職からの影響と実習先での「生活を見据えた回復期リハビリ」に魅せられていたので、いかに生活に寄り添った形でリハビリの提供がなされているかを基準に病院選びをしました。
見学時、新設病院は建設中のため拝見できませんでしたが、説明してくださった言語聴覚士の話に感銘を受け、 エントリーを決めました。面接は緊張しましたが、自分の想いをしっかり伝えることができ、汲み取っていただけました。 情報収集は学校の求人情報や就職ガイダンスを参考にしました。

国家試験の勉強に専念する時期を振り返って、どのように過ごしていましたか。

「国試は個人戦であり団体戦」とよく言われます。1人集中して勉強することも大事ですが、私は「先生なりきり法」が合格への鍵だったと感じています。 自分の勉強したことを、翌日同級生に、先生になったつもりで問題を出しては説明したり、誰かの話に入り込んで一緒に解き、解説してもらったりと、みんなを巻き込んで勉強しました。 そうすることで、自分が勉強したことはもちろん、自分では勉強していない領域、苦手な領域の知識を自分の中に取り込むことができました。 それらのエピソードが記憶に残りやすかったため、「あの時あの人が言っていた」「この障害は実習で見た」と思い出すことも多々ありました。 「分かりだす→好きになる→もっと勉強したくなる」といった良い循環もあり、勉強することを楽しめる自分になったことは想定外の嬉しい戸惑いでもありました。 こうした専攻科での学びが夢の実現につながり、これからの学びにもつながっていると感じています。

現在、夢を叶えて、言語聴覚士としての一歩を歩み始めました。今の仕事内容と日々感じていることを聞かせてください。

広島中央リハビリテーション病院は2020年6月に新設移転した回復期のリハビリテーション病院です。 新しい病院で、毎日緊張感を持って学ばせていただいています。 学生時代のテキストや講義を通した学びとは異なり、今は様々な疾患や病態の患者様、幅広い年齢の患者様、先輩方の実践を目の当たりにしながら、 より多くのことを肌で感じる学びの形に変わってきています。 「障害じゃなくて人となりをみろ」実習先の先生が私に教えて下さったことばです。 患者様自身の性格や生活に直結した支援を見つけ出すにはまだ勉強が必要ですが、十人十色の先輩方の背中と患者様をみて、患者様のニーズに応えられるよう、 また、最大限のパフォーマンスを提供できるよう、セラピストとしても社会人としても日々成長していきたいと思っています。

これから学びを深める専攻科の学生へメッセージをお願いします。

今持っている「なりたい気持ち」を是非大切にしてください。入学前の私は「言語聴覚士になりたい」と皆さんと同じ気持ちでした。 今は「あの先生のような言語聴覚士になりたい」と、より具体的になりましたが、当初からの「なりたい気持ち」が前に進む原動力になっていることは変わっていません。 また、大学生活や社会人を通して身につけた様々な感性は、患者様と触れ合う際に必ず役に立ちます。 私は前職で得た経験があるからこそ、生活習慣や居住形態に伴う困難を見据えながら、言語聴覚士として今自分にできることは何かを考えられると感じています。 一から学び、新人として働くことには不安もたくさんあると思いますが、2年間の学びを深め、言語聴覚士として患者様の幸せを考える仕事ができるよう、共にがんばりましょう。

【教員から一言】
保永さんはクラスのムードメーカーで、入学当初から目指す姿を明確に持っていた学生さんでしたが、葛藤した時期もあったんですね。 社会人を経て言語聴覚士になるということの意義を感じて現在仕事をされていることは、これから学び始めてみようかと思っている人たちに勇気を与えてくれそうです。 実習先で頂いた知識やことばも、入学を決意したときの想いも、試験を乗り越えて今も走り続ける原動力になっているのですね。 過ぎてみればあっという間だったと思うのですが、充実した2年と捉えてくれたことがとても嬉しいです。 保永さんの「ポジティブに現状を楽しむ持ち前の明るさ」を武器に、これからも活躍されることを祈っています。



▲ページトップへ