ホーム > 学部・学科 > 言語聴覚専攻科メッセージ

専攻科・大学院

メッセージ


楠本菜帆さん
鼓ヶ浦こども医療福祉センター
リハビリテーション部

楠本菜帆 さん(2018年度入学 1期生)

「人生でこんなに勉強できる時間は今後ない」と奮い立たせました。


言語聴覚士を志したきっかけを教えてください。

会社勤めをしていましたが、長年の夢であった子どもに関わる仕事に就きたいという想いが再燃しました。
いろいろな職種を調べる中で言語聴覚士という職種と出会い、子どものことばの発達にも携わることができると知りました。
私自身、日本語教員の免許を持ち、ことばに興味があったことから、この仕事に就きたいと思い、目指すことにしました。


学生生活で楽しかったこと・苦しかったこと・悩んだことを教えてください。

楽しかったことは、同級生と一緒に勉強や実技などを試行錯誤しながら行ったことです。 試験が近づくとみんなで問題を出し合ったり、何時間も体が覚えるまで検査の練習をしたりして、みんなで乗り切りました。 落ち込んだことがあっても同級生に話を聞いてもらうことで、元気をもらいました。
苦しかったことは、国家試験合格に向けた勉強です。これは一番苦しかったです。 模擬試験で点数が伸び悩んだ時は、不安で眠れませんでした。
その時は、“人生でこんなに勉強できる時間は今後ない”と自身を奮い立たせました。 そして、どうやったら覚えやすいか、どの場所・時間帯だと集中できるかなど、自分のクセを見つけると徐々に勉強しやすくなりました。
悩んだことは、小児の言語聴覚士がとても明るく元気よく子どもたちと関わっている姿をみて、内向的な自分に務まるのか、向いているのか、ということです。 大学の先生方に相談したところ、様々な性格の言語聴覚士がいることや、臨床に出て経験を積めば自然に身についてできるようになると励ましていただきました。

2年制というカリキュラムは、終わってみてどうだったと感じましたか。

学内で学べる時間が限られている分、実習や、実際に働くようになってから勤務先で学ぶことが多いと思います。 また、朝から晩まで講義があるので、そのリズムに慣れるまでは大変かもしれません。 課題や土曜日の講義も多々あります。忙しい毎日ではありますが、勉強時間が確保でき、早く仕事に就きたい方におすすめです。

就職活動において、どのようなことを心がけていましたか。

小児の言語聴覚士として働きたい想いと、どのような疾患にも対応できる確かな専門性を身につけたかったため、幅広い疾患を対象にしている病院や施設を探しました。 施設見学をお願いして自分の目で確認したり、職場の雰囲気などを質問させていただいたりして、自分にとってやりがいのある職場を探しました。

国家試験の勉強に専念する時期を振り返って、どのように過ごしていましたか。

当初は本当に合格できるのか不安でしたが、繰り返しテキストを読んだり、過去問題を解いたりするうちに、徐々に知識や対策法が身についてきました。 どうしても机に向かって勉強したくない時には、障がいや疾病についてのテレビ番組を見ることにした時もあります。 クラスが少人数だったので、各々が自分のペースで勉強を進められる環境もありましたが、最終的には、先生や同級生と試験前日まで勉強をして、みんなで試験に臨みました。

現在、夢を叶えて、言語聴覚士としての一歩を歩み始めました。今の仕事内容と日々感じていることを聞かせてください。

鼓ヶ浦こども医療福祉センターは、山口県内で唯一の、発達に障がいのある子どもの専門病院です。 対象とする疾患は、脳性麻痺や難聴、発達障がいなど多岐に及びます。現在、私は入院病棟を担当させていただいています。 一人ひとりの方の表情や視線、発声や動きから、気持ちを読み取ったり、その方の好みや限られた動作を意識して関わったりするなど、 つぶさに観察し、臨機応変に対応する能力が必要だと感じています。 日々経験を積みながら専門性を高め、楽しく効果的な発達支援ができる言語聴覚士を目指しています。

これから学びを深める専攻科の学生へメッセージをお願いします。

言語聴覚士が対象とする、高次脳機能障がいや発達障がいなどは、血液検査やレントゲン検査などとは違って、一見しただけではわかりません。 ご本人やご家族のお話、様々な検査や認知面を考慮して、総合的に障がいを把握していくためには、膨大な知識と高い専門性が必要で、 その習得はたやすいものではありません。 けれど、今までの学生生活や社会人経験によって培われた知恵や広い視野は、障がいで悩み支援を求める方々の想いを深く理解する手立てになると思います。
私たち言語聴覚士の仲間が増えることを楽しみにしています。

楠本菜帆さん摂食場面
【教員から一言】
楠本さんは、2年間ずっと「子どもの支援に携わりたい。」という、静かだけど強い熱をもって学び続けた学生さんでしたが、 言語聴覚士になるための勉強は容易ではなく、苦しみながら、悩みながら、同級生と一緒に乗り越えた2年間だったのですね。 楠本さんも、今実感していると思いますが、国家資格を取得して言語聴覚士になったことは決してゴールではなく、 やっとスタートラインに立ったということです。これまでの社会人経験も活かしながら研鑽を重ね、 「自ら主体的に学び続けることができる」言語聴覚士として、目指す姿に近づいていけるよう、応援しています。



▲ページトップへ