出雲医療生活協同組合
出雲市民リハビリテーション病院
出雲市民リハビリテーション病院
金森 翔 さん(2020年度入学 3期生)
今の道を選択した自分を信じて、目の前の道を突き進みましょう
1)言語聴覚士を志し専攻科に入学したきっかけ
きっかけは私自身の吃音様症状の経験から言語聴覚士の職務に興味を抱き、将来的にこの領域を専門的に学び続けて、 少しでも直接的に誰かのお役に立ちたい気持ちが高まっていったことです。また、前職では数年ごとに職務がガラリと変わる点でどちらかと言えば「広く浅く」知識、 経験を身に付けていく必要がありましたが、働く中で自分は「狭く深く」一つの領域を探求していく方が好きだし、 向いているのかなと考えるようになったこともきっかけとなりました。
ただ、この点に関しては入学後、基礎科目、専門科目と学んでいく中で、 少なくとも「狭く」という認識については根本から覆されることになりましたが… (それだけ学び続けないといけない、辛くもマニアックなやりがいある領域だと思います!)
2)学生生活を送る中で
楽しかったこと純粋に自分が興味を抱いた領域について学べること、また社会人から2回目の学生生活を経験できることもどこか不思議なような、新鮮な気分でした。(家族には怒られそうですが…)
苦労したこと
やはり、学ぶ科目の多さかなと思います。
失語症、その他のコミュニケーション障害、高次脳機能障害、構音障害、聴覚障害、さらに小児の発達障害など多くの専門科目があります。
また、「言語聴覚士」の職名にははっきり出て来ませんが、摂食嚥下障害、いわゆる食べる、飲み込むことの障害についても多くの時間を使って学びます。
これらに加えて神経系や内科学、あるいは音声学、音響学などの基礎科目も多彩にあります。
この科目の多さと講義内容に付いていくこと、また科目間で知識的につながっている点も多いかと思うので、その点の整理が難しく苦労しました。
悩んだこと
自分の言語聴覚士としての適性についてかと思います。
この領域に興味を抱いて学びたいと意気込んで新たなスタートを切ったものの、学内での演習やOSCE(客観的臨床能力試験)、 また臨床実習を経験する中で、自分が目指している職は対人サービス業であり、デスクワークなどとは全く異なることを改めて認識させられました。
元々私は内向的な性格ですし、コミュニケーションも決して上手くはないですし、「大丈夫か、自分…。」と正直思いました。
この点は現在臨床する中でも実際に感じる場面も多々ありますが、これは患者様に教えていただく中で失敗経験を積みながら、 少しずつ人間性を高められるように前向きに努力していくしかないと考えています。
3)2年間という履修カリキュラムについて思うこと
一度大学を卒業された方が何かのきっかけで言語聴覚士を目指したいと思ったときに短期間で学び、資格を取得できる貴重な環境と履修カリキュラムかと思います。残念ながら現在私の地元のST養成校は減ってきており、中四国地方でも2年間学んで言語聴覚士の資格取得できるのはこの大学専攻科だけで、 隣県からでもここに通おうと思う強い動機になりました。
2年間ですので、講義スケジュールは多彩な科目が朝から夕方までみっちり詰め込まれますが、そこはやる気でカバーしていくしかないと思います!
4)就職活動について実践したこと
自分が言語聴覚士を目指したきっかけと、なぜ数ある中からその病院を選んだのか、そこで具体的に何をしていきたいのかなど、 基本の部分ではありますが、大切だと思うので、志望動機はしっかり自分自身の中で突き詰めるようにしました。また、その他の面接対策として、地域の中でのその病院の立ち位置や役割など、 チューターの先生にも対策ポイントを何度も相談してしっかりその地域の医療体制や取り組みも含めた病院研究には時間を使うようにしました。
5)国家試験対策について振り返って思うこと
国試対策に関しては各自で千差万別かと思いますが、私は入学時に購入した教科書ベースの学習を基本としていました。正直教科書は読み込むのに時間がかかり、決して要領のいいやり方とは言えないとは思いますが、 空いた時間で少しずつ読み進めて、「ここは覚えたい」と思った記載箇所にはマーカーで線を引っ張って 「ここは一度は読んだんだ」という痕跡を必ず残すことを心がけていました。
定期的に学習の進捗を視覚的に確認しながら進められる点でおススメです。
また、専門領域別の「標準言語聴覚障害学」(白本)は、読み進めるだけでも時間がかかりますが、 「言語聴覚士テキスト」1冊だけでは、国試の選択肢を絞り込むには不十分かと思いますし、 白本が黄色マーカーで染まっていくにつれて、模試の点数も少しずつ伸びていったように思います。
6)現在の職場について
現在私が勤務しているのは、島根県内で唯一の回復期専門のリハビリテーション病院で、 出雲圏域の高度急性期を担う医療機関から急性期の治療を終えた患者様が回復期での集中的なリハビリテーションを目的に多数転院していらっしゃいます。症状も失語症、高次脳機能障害、構音障害、摂食嚥下障害など様々で、現在は成人領域のリハビリテーション業務を担っており、 学んでいくためにも絶好の環境であると考えています。
既に担当の患者様も数名持たせていただきながら、代診も含めて朝から夕方までフル稼働で臨床しながら日々勉強させていただいています。
また、成人領域ではSTが9名在籍しており、他の医療機関と比較すると珍しく?男性STが多く、日々臨床的なこと、業務的なことを先輩方に丁寧に教わりながら臨んでいます。
7)これから学びを深める専攻科の学生へメッセージ
在学中の2年間を振り返ってみると、コロナ禍でのオンライン講義からスタートし、本当にあっという間にすぎた時間だったように感じます。前述したように、自分は言語聴覚士には向いてないのではないかと悩みながら、勉強してきました。
在学中の皆さんも、勉強や適性などの面で、何らかの壁にぶち当たることもあるのではないかと思います。
しかし、これまでの進路を方向転換し、現在の道を選択するにあたっては、それぞれに並々ならぬ思いや覚悟があったのではないかと想像します。
迷いが生じたときには、是非とも、今の道を選択した自分自身を信じて、目の前の道を突き進んでいただければと思います。
【教員から一言】
金森さんはいつも静かにそして淡々と学業に勤しまれていました。
提供される学びの機会を生かすだけではなく、ご自分でいつも問いを作って学び続けられたと思います。
行動制限がかかり、思うようにならないこともたくさんあったので、他県から転居して学ぶというだけでも大変でしたね。
これからは言語聴覚療法についてより深く学び、一人でも多くの人の力になっていただけたらと願っています。
金森さんはいつも静かにそして淡々と学業に勤しまれていました。
提供される学びの機会を生かすだけではなく、ご自分でいつも問いを作って学び続けられたと思います。
行動制限がかかり、思うようにならないこともたくさんあったので、他県から転居して学ぶというだけでも大変でしたね。
これからは言語聴覚療法についてより深く学び、一人でも多くの人の力になっていただけたらと願っています。